マッサージガンは筋肉をほぐさない、痛みの閾値を上げるだけだ
要点
パーカッション式マッサージガンは毎分2,000〜3,500回の打撃で筋を叩き、可動域を即座に広げつつ最大筋力は落とさない道具である。1部位30秒〜2分でその効果のほとんどが出て、それ以上長く当てても上積みはほぼない。逆に筋損傷の回復速度、クレアチンキナーゼ値、翌日の筋力回復には一貫した効果がなく、筋膜の癒着を剥がしたり乳酸を押し流したりもしない。
マッサージガンのスペックはおおむね2つの数字に集約される — 毎分2,000〜3,500回の打撃と、上位モデルで27kg(60ポンド)前後の打撃力だ。この数字が決めるのはどれだけ深く感じるかであって、何が回復するかではない。実際に変わるものと変わらないものは分けて見る必要がある。
1部位に何分当てるか
研究で使われる処置時間はおおむね1部位30秒から5分だ。ところが可動域の増加は1〜2分あたりでほぼ出きって、その後は平らになる。10分抱え込むのは時間を使っているだけで効果を増やしてはいない。1部位1〜2分、トレーニング前の合計5分以内で十分である。
効果の消費期限も短い。広がった可動域が保たれるのは数分から十数分程度だ。だからマッサージガンはその可動域が必要な動作の直前に使ってこそ意味がある。朝にふくらはぎを叩いて夜にスクワットをするのは、無関係な2つの行為だ。
実際に変わるもの
最も再現性が高い結果は、静的ストレッチと同程度に可動域を広げながら最大筋力は落とさないという点だ。ふくらはぎに5分の打撃マッサージを行った後、足関節背屈の可動域は増加した一方で最大随意収縮力は低下しなかったという結果が代表例である。長時間の静的ストレッチが一時的に力を落とすのと対照的だ。
機序は組織ではなく神経の側にある。速い振動が機械受容器を刺激し、痛みの知覚が下がって伸張に対する耐性(ストレッチトレランス)が上がる。筋が物理的に長くなったのではなく、同じ角度で痛みが少ないから深く入るのだ。だから効果は即座に出て、だからすぐ消える。
変わらないもの
遅発性筋肉痛のスコアは多少下がるが、クレアチンキナーゼのような筋損傷指標や翌日の最大筋力の回復には一貫した効果がない。痛みが軽く感じられるだけで、治りが早いわけではない。この区別を落とすと、回復していない体でボリュームを増やすことになる。
根拠のない宣伝文句もはっきりしている。マッサージガンは筋膜の癒着を剥がさないし、乳酸を押し流しもしない。運動中に溜まった乳酸は処置と無関係におおむね1時間以内に消えるし、翌日の筋肉痛とはそもそも原因が違う。
可動域の結果の多くはふくらはぎやハムストリングスのような大きな筋で、処置直後の短い時間帯を見たものだ。安全側の原則はもっと単純である — 骨が突出した部位、関節そのもの、首の前面、神経が浅く走る場所(肘の内側、ふくらはぎ外側の上部)は避け、急性外傷、あざ、静脈瘤、抗凝固薬の服用、血栓リスクがある場合は使わない。痛みが出る強さはすでに強すぎる。ストレッチをトレーニングの前後どちらに置くかはハムストリングスのストレッチのタイミング、可動域と柔軟性の違いはモビリティと柔軟性にまとめてある。
では、いつ使えば得か
最も正当な用途は可動域がフォームを妨げているとき、そのセットの直前に使うことだ。足首が曲がらずスクワットの深さが出ないならふくらはぎに1〜2分、胸椎と広背筋が引っかかってオーバーヘッドが安定しないならその部位に1〜2分。筋力を削らずに角度を広げる道具なので、ウォームアップの中に組み込むのに向いている。
記録の側では逆に使ってはいけない。マッサージガンは回復の予算を増やしてくれないので、これを使ったことを理由に週間セット数を上げたり休養日を削ったりする判断には根拠がない。ビッグ3の1RMとマッスルインデックスのトレンドを作るのはトレーニングと睡眠と摂取であり、パーカッションは今日のフォームを助ける道具であってそのトレンドへの入力ではない。
よくある質問
マッサージガンは1部位に何分使えばいいか?
1部位30秒から2分で十分だ。可動域の増加は最初の1〜2分でほぼ出きり、それ以上当てても上積みがほとんどないため、トレーニング前の合計を5分以内で終えるのが効率的である。
マッサージガンで筋肉痛は治るか?
痛みのスコアは多少下がるが、回復そのものが速くなるわけではない。クレアチンキナーゼのような筋損傷指標や翌日の最大筋力の回復に一貫した効果は確認されていない。
筋膜の癒着はほぐれるか?
ほぐれない。筋膜を物理的に剥がす根拠はなく、乳酸を押し流す作用もない。実際の機序は、機械受容器の刺激によって痛みの知覚が下がり伸張への耐性が上がる神経系の反応である。
運動前に使うと力が落ちないか?
落ちない。ふくらはぎに5分の打撃マッサージを行った後、足関節の可動域は増えた一方で最大随意収縮力は低下しなかった。長時間の静的ストレッチが一時的に力を落とすのとは対照的だ。
使ってはいけない部位や状況は?
骨が突出した部位、関節そのもの、首の前面、神経が浅く走る場所は避ける。急性外傷、あざ、静脈瘤、抗凝固薬の服用、血栓リスクがある場合は使用せず、痛みが出る強さはすでに強すぎると考える。
出典: Men's Health