研究

ビタミンK2が低いと動脈の石灰化と結びつく — 心臓の肥大とは結びつかない

要点

維持血液透析患者189人を調べた横断研究で、血清ビタミンK2が2.39 nmol/L未満であることと65歳超が、大動脈弓石灰化の独立した危険因子として残った。一方でビタミンKもGas6も左室肥大とは相関しなかった。このデータが支持するのはビタミンKと血管石灰化の関連という一本だけで、K2が心筋の肥厚を防ぐという主張はここからは出てこない。横断データなので因果でもなく、対象は一般のトレーニーではなく透析患者だ。

設計は単純だ。維持血液透析患者189人の血清で、ビタミンK2(MK-7)とビタミンK依存性タンパク質であるGas6をELISAで測定した。左室心筋重量係数で肥大群110人と非肥大群79人に分け、同時に大動脈弓石灰化スコアで重症度の異なる4群(46人、54人、53人、36人)に分けて比較している。つまり同じ患者集団の中で、血管が硬くなることと心筋が厚くなることという二つの心血管障害を並べて見たわけだ。

何が出て、何が出なかったのか?

  • 出たもの — 石灰化が重い群ほどビタミンK2は低く、Gas6は高かった。多変量解析の後も65歳超ビタミンK2 2.39 nmol/L未満が石灰化の独立した危険因子として残った。
  • 出なかったもの — 左室肥大とビタミンK・Gas6のあいだに相関はなかった。単純比較では肥大群のK2が低かったが(P<0.05)、年齢・BNP・クレアチニンも同時に異なっており、最終的な結論は関連なしだった。
  • 読み方に注意が要るもの — ビタミンK2はカルシウムと強い正の相関(r=0.822)、Gas6とは負の相関(r=-0.339)を示した。一時点の相関係数であって、どちらが原因かを語る値ではない。

ではK2を摂るべきなのか?

この研究は補充試験ではない。K2を与えて石灰化が減るかを見たのではなく、もともと値が低い人と高い人を一時点で比較しただけだ。対象もカルシウム・リン代謝が正常域を大きく外れた透析患者で、一般のトレーニーにそのまま移せない。ビタミンDにK2を抱き合わせた製品が「カルシウムが血管に付くのを防ぐ」と言うとき、その根拠の水準はたいていここまでだ — 関連は観察された、介入の結論はまだ出ていない

リフターに残る線はどこか?

骨と血管の話になったとき、順序はいつも同じだ。検証された刺激を先に満たし、サプリはその上に乗せる。骨密度で介入試験レベルの根拠があるのはレジスタンストレーニングで、必要な用量は別にまとめてある。サプリは吸収と根拠という壁を先に越えなければならず、ポリフェノールサプリの例がその壁の崩れやすさを示している。トレーニングの記録は、そのあいだで唯一ぶれない指標だ — 計算機に入れる数字はマーケティングの影響を受けない。

ワルファリン系の抗凝固薬を服用している場合、あるいは腎疾患や透析治療を受けている場合は、ビタミンKの摂取量を変える前に必ず医療者に相談すること。ビタミンKは抗凝固効果に直接干渉する。

よくある質問

ビタミンK2は血管の石灰化を防ぐのか?

この研究は介入試験ではなく一時点の観察だ。ビタミンK2が2.39 nmol/L未満であることが大動脈弓石灰化の独立した危険因子だったという関連は確認されたが、補充すれば石灰化が減るという根拠にはならない。

左室肥大とビタミンKに関係はあるのか?

この集団ではなかった。単純比較では肥大群のビタミンK2が低かったが、最終的な結論はビタミンKもGas6も左室肥大とは相関しないというものだった。

Gas6とは何か?

ビタミンKに依存して働くタンパク質で、血管の石灰化や細胞の生存シグナルに関わる。この研究では石灰化が重い群ほどGas6が高く、ビタミンK2とは負の相関(r=-0.339)を示した。

この結果を健康な人に当てはめられるか?

そのままは当てはめにくい。対象は維持血液透析患者で、カルシウムとリンの代謝が大きく乱れた集団だ。一般人口で同じ基準値が成り立つかは、この研究は答えていない。

骨と血管のためにリフターがまずやるべきことは?

レジスタンストレーニングだ。骨密度については介入試験レベルの根拠があり、サプリはその上に乗せる選択肢になる。根拠の順序を逆にしないことが要点だ。

出典: PubMed

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