研究

同じ12週プログラムでも結果は人によって大きく違う — 遺伝が27.7%を説明

要点

アジア人成人187人が12週間まったく同じレジスタンストレーニングを行った結果、集団全体の除脂肪量は有意に増えたが個人差が非常に大きかった(変動係数0.84)。ゲノムワイド関連解析で除脂肪量の変化に関連する9つの新規一塩基多型が同定され、それらを組み合わせた遺伝的素因スコアが個人差の27.7%を説明した。裏を返せば残りおよそ72%はゲノムの外にあるということだ。

同じプログラムを同じ期間やったのに、隣の人は目に見えて大きくなり自分は変わらない、という経験はよくある。この研究はそのばらつきを実際に測定した。同じトレーニングで結果が分かれるのは錯覚ではなく測定される現象だ。

どう測定したか

普段運動をしていなかった成人187人(女性51.3%、平均21.5 ± 2歳)が12週間の監督付き期分けプログラムを完了した。プロトコルは単純かつ明確だった。

  • 種目 — スクワットとベンチプレス
  • 強度 — 1RMの70%
  • ボリューム — 5セット×10回、セット間休息2分
  • 頻度 — 週2回、12週間

除脂肪量は介入前後にDEXA(二重エネルギーX線吸収測定)で精密に測定した。メジャーや体組成計ではなく研究用の標準機器を使った点が、この数字を信頼できるものにしている。

ばらつきはどれほどだったか

集団全体では除脂肪量が有意に増えた。問題はその中の分布だ。除脂肪量変化の変動係数は0.84。標準偏差が平均の84%に達するということで、人によって結果が事実上数倍違ったという話になる。

ゲノムワイド関連解析の結果、除脂肪量の変化と有意に関連する9つの新規一塩基多型が同定された。これらを重み付けして組み合わせた遺伝的素因スコアは、観察された個人差の27.7%を説明した。うち rs10212396 は筋の適応に関与する可能性のある ROBO2 遺伝子の近傍に位置していたが、同定された遺伝子の大半は具体的な機能がまだ明らかになっていない。

27.7%をどう読むか

この数字は両方向に読める。27.7%は小さくない。トレーニング反応に生まれつきの要素が実在するということであり、他人と比べて自分を責めることがおおむね無意味だという根拠でもある。

同時に27.7%はすべてではない。残りおよそ72%はゲノムの外にある。実際に行ったセット数、タンパク質と総カロリー、睡眠、12週間を欠かさず埋めたかどうか、そして測定誤差がそこに入る。遺伝は出発点と傾きを変えるが向きは変えない。この研究でも集団全体は有意に増えた

このコホートは平均21.5歳の非トレーニングのアジア人成人だ。人口集団が近いデータである点は利点だが、トレーニング歴のある人や他の年齢層にそのまま移すことはできない。遺伝子検査でトレーニング反応を予測するという商品の根拠がまだ乏しい理由でもある。

筋力スコアとの関係

この研究は、相対筋力スコアという考え方がなぜ必要かを正面から支える。絶対重量だけで並べれば、体格と生まれつきの反応性が順位のかなりの部分を決めてしまう。体重・年齢・身長を補正する理由はそこにある。

ただし補正でも消せないものがある。上の変動係数0.84がそれだ。だからもっとも正直な比較対象はいつも3か月前の自分になる。同じプログラムをやった隣の人との差の4分の1以上は、そもそもトレーニングで作ったものではない。他人との順位はモチベーションに使い、プログラムの成否は自分の記録の傾きで判断するほうがデータに合っている。

付け加えると、上のプロトコル自体が良い初心者テンプレートだ。スクワットとベンチプレスを1RMの70%で5セット10回、週2回 — 12週間で集団全体に有意な除脂肪量の増加をもたらした構成だ。出発点が必要ならバーベルの始め方と併せて見るとよい。

よくある質問

同じ運動をしても人によって結果が違うのはなぜか?

生まれつきの反応性の差が実在する。アジア人成人187人が12週間同一プログラムを行った研究で、除脂肪量変化の変動係数は0.84であり、遺伝的素因スコアがその個人差の27.7%を説明した。

遺伝が筋成長を決めるのか?

決めはしない。この研究で遺伝的素因スコアが説明したのは個人差の27.7%で、残りおよそ72%はゲノムの外にある。実際に行ったボリューム、タンパク質と総カロリー、睡眠、プログラムを完遂したかどうかがそこに入る。集団全体では有意な増加が見られた。

この研究で使われたプログラムは?

スクワットとベンチプレスを1RMの70%で5セット10回、セット間休息2分、週2回、12週間行う監督付きの期分けプログラムだ。除脂肪量はDEXAで測定した。

遺伝子検査でトレーニング反応を予測できるか?

まだ早い。この研究は9つの新規変異を初めて同定した段階であり、同定された遺伝子の大半は具体的な機能が明らかになっていない。コホートも平均21.5歳の非トレーニングのアジア人成人に限られる。

では他人と比べることに意味はないのか?

順位の比較はモチベーションには使えるが、プログラムの成否の判断には向かない。同じプログラムでも個人差の4分の1以上はトレーニングで作ったものではないため、判断基準は3か月前の自分の記録との差のほうが正確だ。

出典: PubMed

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