カロリー密度ダイエットはリフターには半分しか合わない — 1日1,400kcalの罠
要点
ボリューメトリクス(カロリー密度)ダイエットは食品を1gあたりのカロリーで分類し、0.6未満の低密度食品で胃を満たす方法だ。12週間の小規模研究では時間制限食と同程度の体重減少が確認された。ただしこの方法が減量時に示す基準は1日1,400kcalで、エネルギー要求量の大きいアスリートには適さないと専門家が明言している。リフターが持ち帰るべきはカロリーの基準ではなく、カロリー密度という分類の道具だ。
ボリューメトリクスダイエットは2000年、ペンシルベニア州立大学の栄養学研究者 Barbara Rolls 博士が示した方法だ。発想は単純で、食品を1gあたりのカロリー(カロリー密度)で分類し、水分と食物繊維が多く密度の低い食品で胃を満たす。同じかさを食べてもカロリーは少なく入り、満腹感は変わらない。
食品をどう分類するのか
- 第1群(密度0.6未満) — 食事の大半を占める。ベリー類、メロン、ブロッコリー、ビーツ、にんじん、無脂肪ヨーグルト、スキムミルク、澄んだスープ。
- 第2群(0.7〜1.5) — ほどほどに。皮なし鶏肉、赤身肉、レンズ豆、ひよこ豆、じゃがいも、かぼちゃ、玄米、キヌア。
- 第3群(1.6〜3.9) — 少量で。脂の多い肉と魚、チーズ、全乳、パスタ、白パン。
- 第4群(4〜9) — ごく少量。ナッツ、種実類、油、ファストフード、キャンディ。
禁止食品がないのがこの方法の強みだ。排除ではなく比率の調整で進めるため、短期の極端なダイエットより続きやすい。根拠もある。過体重・肥満の人を対象にした小規模研究で、この方法は時間制限食と同程度の体重減少をもたらし、12週間後には両群とも有意な減少を示した。
どこに問題があるか
批判は2つある。ひとつは健康的な脂質を悪者扱いすること。ナッツと種実類が第4群に入るが、脂質はどの食事にも一定の割合が必要だ。もうひとつは分類の基準が食品の質ではなくカロリー密度だけであること。その結果、マーガリンとポテトチップスがナッツ・種実類と同じ群に入る。
なぜトレーニングする人に合わないのか
ここが核心だ。この方法が減量時に示す基準は1日1,400kcalと1日30〜60分の運動だ。週3〜5回重いトレーニングをする人にとって1,400kcalは減量域というより消耗域に近い。専門家もエネルギー要求量の大きいアスリートには適さないと明言し、かさの大きい食品は消化器に問題のある人には負担になりうると付け加えている。
かさそのものも問題になる。低密度の食品で胃を満たすと、体重1kgあたり1.6〜2.2gのタンパク質を確保するのが物理的に難しくなる。満腹なのにタンパク質のグラム数が足りない状態が続けば、減量中の筋肉の損失が大きくなる。
では何を持ち帰るか
カロリーの基準ではなく分類の道具だけを持ち帰ればいい。タンパク質と総カロリーはトレーニング量に合わせて別に決め、その枠の中で野菜・果物・澄んだスープといった低密度食品の比率を上げる。結果として同じカロリーでずっと満腹な食事になり、それが減量期に続くかどうかを実際に決める部分だ。和食とも相性がいい。すまし汁、おひたし、酢の物はどれも第1群にあたる。
減量中に筋肉を守るなら、総カロリーよりタンパク質の確保が先だ。低密度の食品で胃を満たす前にタンパク質を先に配置し、残った容量を野菜とスープで埋める順番のほうが安全だ。
筋力スコアとの関係
ここには押さえておくべき罠がひとつある。相対筋力スコアは体重で補正した点数なので、体重が減れば同じ記録でもスコアは上がる。つまり減量中はスコアが実際の筋力と逆方向に動きうる。スクワットが5kg落ちたのに体重が4kg減ってスコアは上がっている、という具合だ。減量期にスコアだけでなくビッグ3の絶対記録を併せて見るべき理由がこれだ。記録が保たれたまま体重が落ちているなら減量はうまくいっており、記録も一緒に崩れているならカロリーかタンパク質が足りていない。
タンパク質の摂取そのものについては消化酵素サプリはタンパク質の吸収を増やさないで扱った。
よくある質問
ボリューメトリクス(カロリー密度)ダイエットとは何か?
食品を1gあたりのカロリーで分類し、水分と食物繊維の多い低密度食品で胃を満たす方法だ。2000年に Barbara Rolls 博士が示したもので、禁止食品を設けず比率だけを調整する。減量の基準としては1日1,400kcalと1日30〜60分の運動を示している。
カロリー密度ダイエットは効果があるか?
過体重・肥満の人を対象にした小規模研究で、時間制限食と同程度の体重減少が見られ、12週間後には両方とも有意な減少を示した。排除ではなく比率の調整で進めるため続けやすいと評価されている。
リフターはこの方法をそのまま使ってよいか?
そのままは勧めにくい。示された1日1,400kcalは重いトレーニングをする人には低すぎ、専門家もエネルギー要求量の大きいアスリートには適さないと指摘している。カロリーの基準はトレーニング量に合わせて別に決め、カロリー密度の分類だけを使うほうがよい。
このダイエットの欠点は何か?
健康的な脂質を過度に排除することと、分類の基準が食品の質ではなくカロリー密度だけであることだ。その結果マーガリンとポテトチップスがナッツ・種実類と同じ群に入る。かさの大きい食事は消化器に問題のある人にも負担になりうる。
減量中に筋力スコアが上がっていれば順調なのか?
必ずしもそうではない。体重で補正したスコアは体重が減れば同じ記録でも上がるため、筋力が落ちている最中でもスコアが上がりうる。減量期はスコアと併せてビッグ3の絶対記録を確認する必要がある。